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【裏話】「カードキャプターさくら」の裏テーマとは?作者が込めた思い

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魔法が使える女の子(魔法少女)が主人公という少女マンガらしい作品であるにもかかわらず、どうしてキャラクターたちの恋愛が、ああもぶっとんでいるのでしょう?

そこには、作者・CLAMPさんの「こういうものをかきたい」という思いが込められていました。

CCさくらの裏テーマ

 

今は絶版の「カードキャプターさくら メモリアルブック」の最後に掲載されている作者へのインタビューで、表に出るテーマ性のほかに、「裏テーマ」というものがあることが明かされいます。

カードキャプターさくらメモリアルブック

さくらちゃんの周りは自由な恋愛だらけ!

まず1巻目で驚かされたのが、さくらの親友・知世(ともよ)ちゃん。さくらの兄・桃矢(とうや)を見つめて「好き…」な感じのそぶりをしておき、実はさくらに似ている耳の形に惹かれていただけだったとは。知世ちゃんがいかにさくらちゃんのことが好きかを見せつけられた衝撃的なシーンです。

次に、海外から転校してきた男の子・小狼(シャオラン)くん。さくらが片思いする、桃矢の同級生・雪兎(ゆきと)さんを見るや否や恋に落ちるとは!主人公の恋のライバルがまさかの男の子にはビックリしました。
(この後ストーリーが進むにつれて、小狼は自分の思い違いだったことを自覚します)

女が女を好きになり、男が男を好きになるという、子供向けの少女マンガではめずらしい設定です。

他には、お互いの立場の違いを超えた「先生と生徒」による恋愛も。さくらのお父さんとお母さん、さくらのクラスメイト・利佳ちゃんと担任の寺田先生などがそうですね。この先生と小学生って何歳差になるんだろう…15歳差くらいかな?

どうして「カードキャプターさくら」では、こんなに変わった恋愛感情が描かれてあるんだろう?

これと同じような質問に、作者は、さくら連載終了後の雑誌インタビューで答えています。

インタビュアーの質問

『「さくら」を読んでいて、知世のさくらへの想いや、雪兎と桃矢の関係といった、通常の男女間の恋愛とは違う形のものを、じつに自然に描いたところが印象的だったのですが、作者としてはどうだったのでしょうか?』

参照:カードキャプターさくら メモリアルブック

CLAMP・大川さんの答えがこちら。

「さくら」に関しては、この表現が正しいかどうかわからないんですが、「マイノリティに対して優しい作品にしよう。」ということを最初から話していたんです。知世ちゃんのさくらへの想いにしても、見方によっては<アブナイ>という言い方をされてしまうような想いですよね。雪兎と桃矢に関しても、読んだ方が友情と取ってくれてもいいし、それ以上の感情と取ってくださってもいい。あるいは小狼が最初、雪兎に惹かれていたこととか、利佳ちゃんの想いとか、そういう想いをどう描くかとういうことを大事にしようと思ったんです。

参照:同上

マイノリティとは、社会的少数者、少数派のこと。
社会での一般的な常識は、多数派による影響が強いです。「社会の常識」「世間の当たり前」これらに立場が弱くなりがちになってしまうのが少数派です。

例えば、世間ではお父さんとお母さんと一緒に住んでいる子のほうが多く、まだまだ一般的です。
両親がそろう家庭で育つ子供たちのなかには、それが当たり前だと信じて疑わない子もいるでしょう。クラスにいた、そうでない子に出会って「なんでお父さん(あるいはお母さん)がいないの?」それって普通じゃない。となってしまう。

さくらちゃんの家族は、お父さんとお兄ちゃん。お母さんはいません。お母さんは、さくらちゃんがまだ幼い時に天国へ行ってしまいました。お兄ちゃんとは歳が離れているし、はとこの知世ちゃんと出会うまでは親戚もいませんでした。(さくらと知世のお母さんが従姉妹「いとこ」の関係で、撫子と園美は親戚にあたります。いとこの子はお互いに再従姉妹「はとこ」の関係になります。はとこは又従姉妹「またいとこ」とも言います。)

その後、さくらの母方の曽祖父・ひいおじいちゃんが初めて登場しますが絶縁状態で、さくらちゃんは会っても誰なのか知りませんでした。ひいおじいちゃんの大切な孫である撫子さん(さくらのお母さん)は、まだ16歳の高校生という若さで学校で出会った新米教師の木之本先生(さくらのお父さん)と結婚してしまったのが寂しかったそうです。

お母さんがいなくて寂しい思いはたくさんしていたはずですが、さくらちゃんはそのことでいじけたり他の子をうらやんだりはしません。お母さんが写った写真に向かって笑顔で「いってきます」を言って出かけるのです。

まっすぐに育ったさくらちゃんは、転校生の外国人(小狼やエリオル)に対しては隣町から引っ越してきたかのように自然に接するし、好きな相手・恋愛の対象が異性でなくても、変に思わず、好きという気持ちを尊重しています。天然キャラといえばそうなのですが…むやみに偏見をもったりしません。

「世間一般的で言われるところの健全な家族構成とか、健全な恋愛とか言われるものと違うところで生きている人たちに対して、優しい主人公であってほしいと思って、こういう話になりました。」
「小さい読者たちにわかってもらうのは難しいとは思っても、さくらちゃんの姿を見て何か感じてくれたらいいな、自然にさくらの姿から学んでいてくれたらうれしいな」

参照:同上

多種多様な恋愛感情がでてくる意味は、そういうことだったのですね!

さくらは小狼が小狼であるかぎり、さくらは小狼を選ぶ

最終回のお話では、さくらちゃんは小狼くんと両思いになりハッピーエンドで終了します。
あれ?マイノリティに対して優しい作品であるはずの「カードキャプターさくら」なのに肝心の主人公は、同年代で異性の男の子と結ばれてますよね?

これにもちゃんとした、というか次元を超える答えがありました。

「さくらは<年齢のつりあいの取れた男の子>だから小狼を選んだわけではないんです。たとえ小狼が女の子でも、年齢がずっと離れていたとしても、小狼が小狼であるかぎり、さくらは小狼を選んだと思うんです。」
「だから、知世ちゃんは女の子だから、さくらと結ばれなかったわけじゃないということです。」

参照:同上

見た目ではなく、その人の魂、根本的な部分を意識するってすばらしいですねぇ…。

余談ですが、スピリチュアルブームの時に知った「ソウルメイト」という言葉を思い出しました。その魂は互いに引き寄せ合うという。もしかしたら、さくらちゃんと小狼くんは「ツインソウル」のほうかもしれません…。私もそんなひとに巡り会いたい!

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